世田谷の「組み体操事件」を獣医の視点で考える

動物病院に来院されるお客さんにも厄介な人はいますが、学校の先生も大変だなと感じさせられる出来事がありました。

世田谷の学校で起きた、組体操での事件について考えてみたいと思います。

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組み体操で後遺症事件の概要

世田谷の体育館で、2人組みの倒立の練習中に転倒し、床に頭や背中をぶつけました。後日、視覚障害が出て、「脊髄液減少症」と診断されたという事件です。

それに対し、体育館にマットを敷くという安全措置をせず、練習不足にも関わらず倒立をさせたことを問題とし、安全に対する注意義務を怠ったとして提訴、約2000万円の損害賠償請求をしました。

この裁判については生徒側は、「お金が欲しいわけではなく、何があったか知る為の裁判」だというように話しているそうです。

なお、元担任の個人責任と謝罪を求めていましたが、こちらの和解は成立しなかったとのことでした。

事件の詳細については、こちらをご覧下さい。

世田谷区が提案した「話し合い」両親は応じる意向

「2人組みの倒立」は危険か?

上の図よう所謂ピラミッドでは、過去に複数人が骨折したりと危険性が高いと思われる組み体操の項目です。

しかし文字を追うと、「2人組みの倒立の練習中に転倒」と書いてあります。恐らく、イメージは1枚目の写真だと思われます。

まずこれが、一般的に危険かという議論になるかと思います。僕らの時代の感覚からすると、危険という認識はないです。それから数十年経っているので、運動能力の低下や個人の運動能力は配慮する必要があるかもしれませんが。よって、個人的には極めて危険性は低いと考えています。もちろん、運動が苦手な人もいるでしょうけど。

それならば、サッカーや野球そして柔道の方が、遥かに危険が高いのではないかと思います。全速力で人と人がぶつかったり転倒したり、はたまた投げ飛ばされたりと。

運動中の事故を全て教員の責任にするのは、行き過ぎだと思っています。

そうすると体育や部活は学校でやらないか、親と本人の「運動中に事故があっても一切異議申立てはしません」と書面を交わして、同意した人のみでやるしかなくなってしまいます。

なお生徒側は、「組み体操を無くして欲しいわけでは無く、安全配慮して欲しい」旨のコメントがあります。

ただ、実際にどうすればいいのか、具体的な対策を教えていただきたいものです。

一人の生徒に一人の教師をつける訳にも行かないですし、事故自体は不幸なことだと思いますが、予測可能な範囲ではないと思います。

動物病院での話

動物病院でも予測が可能なものから不可能なものまで、不幸な事故は多数起きています。

やはり、死亡や怪我などの後遺症が残るような事態もあります。

いくつか思い当たる事件を列挙して見ます。

1、避妊手術や去勢手術で、元気な子が死んでしまった

2、犬が診察札台から飛び降りて、骨折してしまった

3、ペットホテル中の動物が逃げて、捕まらなくなってしまった

4、診察で様子を見ようと言われてる連れて帰ったら、翌日死んでしまった

5、健康診断で異常がないと言われたが、その後病気が発覚した

6、ウサギの爪切りで、背骨が折れて下半身が麻痺した

7、トリミングでカットした時に、体を誤って切ってしまった

こういった事例で、どこまで動物病院や獣医師等に責任があるのでしょう?

おそらく全てという事になるのかと思います。信頼して預けた結果が裏切られたという点において、弁解の余地もないかと思います。

しかし人間がやる事で、どうしてもミスは出てしまいますし、動物病院や獣医師の力の限界というのもあります。

今後、動物医療でも裁判が増えてくることが予想されます。

まずは、十分な説明とミスをしないことを徹底する必要があります。しかし時に、思いも寄らない結果や事件には遭遇するものです。

少し話は戻りますが、先の1〜7については基本的に動物病院や獣医師に少なからず責任があると思います。

ただ、以下のような場合だったらどうでしょう?

4、診察で様子を見ようと言われてる連れて帰ったら、翌日死んでしまった

→「検査をお勧めしたのに、お金がかかるので検査を拒否されたので、仕方なく」様子を見ようと言ったら、翌日死んでしまった場合

5、健康診断で異常がないと言われたが、その後病気が発覚した

→「1年前に」健康診断で異常がないと言われたが、その後病気が発覚した場合

→ 健康診断で異常がないと言われたが、その後「脳梗塞ないし脳腫瘍」が発覚した場合

4については、動物を触っただけで100%診断することは不可能です。検査を行っていれば、何らかの病気が判明した可能性はあったかもしれません。

5については、初期症状では検査に引っかからない事があったり、急激に症状が進行する場合があります。また、脳の中などは普通の健康診断では検査できないですし、心筋梗塞や脳梗塞などはそもそも予測が不可能だったりします。

群馬大学の医学部で報道された、腹腔鏡手術で異様に死亡率が高いことなど、医者側の問題も存在するので、特に死亡事故などには厳しい目を向けておく必要もあるかと思います。そうする事で、結果として医療の向上につながる事もあるかと思います。

同様に獣医療においても、そのような監視の目は必要かと思います。ただ残念な事に、現在の獣医療は医療に比べて教育、設備、人員と不足しているのが事実です。

教育現場でも獣医療でも、事故0が望ましいのは言うまでもありません。しかし中には、どうしても防げない事故も存在します。

もしそれを個人の教員や獣医師に押し付けると、現場の萎縮に繋がることを懸念します。

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